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電気のことを考える(その1)

Category: 政治・社会

東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から間もなく1ヶ月が経とうとしている。TV放送はほぼ通常編成に戻ったが、ニュースで流れる内容は依然地震関連のものが多く、被災地の状況に加えて、福島第一原子力発電所や(夏の)計画停電に関するものも多い。現代の生活において電気は無くてはならないものであり、7日の大規模余震でも東北電力管内で大規模停電が生じたように、電力の安定供給は今後の日本復興の上でも大きな課題になる。そのありがたみを思いつつ電気について考えてみたい。長編になりそうな予感なので、今回は福島第一原発の事故について考えてみたい。

・福島第一原子力発電所の事故について
あまり長々とは書きたくないので出来るだけ簡潔にしたい。今回の地震は「100年に1度」「1000年に1度」等と言われているが、今回の事故を想像を遙かに超える災害のせいでは片付けられないのは明白だ。今回の事故は、原子力発電所の設計ミスを放置したこと、事故に対する初動の遅れがここまでの事故に繋がったと考えられ、明らかに人災である。

これは、2006年の臨時国会に提出された、共産党の吉井英勝議員の「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」である。吉井議員は京都大学工学部原子核工学科卒で、これまで再三に渡り災害対策の不備を正しているが、それに対して具体策は実施されてこなかった。

質問書の内容についての詳しい話は割愛するが、実際、高圧送電鉄塔が倒壊し、ディーゼル発電機も動かなかったことが事態を悪化させた要因であるし、ベントや水素爆発等によって放射性物質をばらまいている訳で、まさにここで懸念されたことが現実のものとなっている。

とは言え、政府や国会議員、役所、東京電力等の責任を過度に追及するのも考えものだ。大相撲といい、吊し上げにすることだけに目が向きがちだが、重要なのは今回の経験を踏まえ、安全対策を含めた原子力行政にどうフィードバックをかけるかであると思う。しかし、東京電力に公的資金を注入するのはやむを得ないにしても、適当な時期に全役員の更迭、新役員の半数は外部登用位のことはして欲しいが。

今後の原子力行政についての要望も色々あるが、かいつまんで二点だけ。一点目は、正確かつ迅速な情報公開の徹底である。公開された情報の消化不良による混乱が生じることは事実であるが、それよりも情報が公開されないことによる混乱の方が遙かに大きいと思われるからだ。情報がきちんと公開されればそれを元に今の状況を分析できる人が正しい情報を流すことも可能であるが、情報がないことにはそれもままならないからだ。

今回、「10条通報」「15条通報」なる言葉がニュースで流れたが、これは茨城県東海村で起きたJCOの臨界事故、通称”バケツ事件”を教訓に1999年12月に制定された原子力災害対策特別措置法に基づくものである。

原子力災害対策特別措置法の第10条、第15条は以下のような条文である。

(原子力防災管理者の通報義務等)
第十条 原子力防災管理者は、原子力事業所の区域の境界付近において政令で定める基準以上の放射線量が政令で定めるところにより検出されたことその他の政令で定める事象の発生について通報を受け、又は自ら発見したときは、直ちに、主務省令及び原子力事業者防災業務計画の定めるところにより、その旨を主務大臣、所在都道府県知事、所在市町村長及び関係隣接都道府県知事(事業所外運搬に係る事象の発生の場合にあっては、主務大臣並びに当該事象が発生した場所を管轄する都道府県知事及び市町村長)に通報しなければならない。この場合において、所在都道府県知事及び関係隣接都道府県知事は、関係周辺市町村長にその旨を通報するものとする。
 2  前項前段の規定により通報を受けた都道府県知事又は市町村長は、政令で定めるところにより、主務大臣に対し、その事態の把握のため専門的知識を有する職員の派遣を要請することができる。この場合において、主務大臣は、適任と認める職員を派遣しなければならない。

(原子力緊急事態宣言等)
第十五条  主務大臣は、次のいずれかに該当する場合において、原子力緊急事態が発生したと認めるときは、直ちに、内閣総理大臣に対し、その状況に関する必要な情報の報告を行うとともに、次項の規定による公示及び第三項の規定による指示の案を提出しなければならない。
 一  第十条第一項前段の規定により主務大臣が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量が、異常な水準の放射線量の基準として政令で定めるもの以上である場合
 二  前号に掲げるもののほか、原子力緊急事態の発生を示す事象として政令で定めるものが生じた場合
 2  内閣総理大臣は、前項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、原子力緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(以下「原子力緊急事態宣言」という。)をするものとする。
 一  緊急事態応急対策を実施すべき区域
 二  原子力緊急事態の概要
 三  前二号に掲げるもののほか、第一号に掲げる区域内の居住者、滞在者その他の者及び公私の団体(以下「居住者等」という。)に対し周知させるべき事項
 3  内閣総理大臣は、第一項の規定による報告及び提出があったときは、直ちに、前項第一号に掲げる区域を管轄する市町村長及び都道府県知事に対し、第二十八条第二項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法第六十条第一項 及び第五項 の規定による避難のための立退き又は屋内への退避の勧告又は指示を行うべきことその他の緊急事態応急対策に関する事項を指示するものとする。
 4 内閣総理大臣は、原子力緊急事態宣言をした後、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、原子力安全委員会の意見を聴いて、原子力緊急事態の解除を行う旨の公示(以下「原子力緊急事態解除宣言」という。)をするものとする。

10条の政令に定められた基準とは原子力事業所の境界付近の放射線測定設備により5μSv/h以上(特定事象の基準はにもある)、15条の基準は同500μSv/h以上であるが、原子力緊急事態(15条事態)の基準はにもあり、今回の件は明らかにそれに該当するものだ。

この辺りのことは原子力災害対策特別措置法施行令に定められているが、気になった点を挙げると、原子力災害対策特別措置法の第10条第2項にある専門的知識を有する職員の派遣要請であるが、要請は何と文書で行うことが原則となっている(原子力災害対策特別措置法施行令第5条第1項)。5μSv/hという値自体は逼迫した状況ではないものの、急激に値が高くなれば逼迫した状況になる訳で、いちいち文書など書いてる場合ではないだろう。

上記の職員の派遣に関しては、「ただし、事態が急迫して文書によることができない場合には、口頭又は電信若しくは電話によることができる。」という但し書きが存在するが、原子力災害対策特別措置法の第20条第4項(条文は割愛)による自衛隊の派遣に関しては但し書きが存在しない。事故が起こって直ぐに自衛隊を投入することはないとは言え、自衛隊の派遣を決定する事態はその時点で相当逼迫している訳で、それなのに文書とか…。国民の為を思うのであれば「文書による」は即刻削除すべきだ。

今回の事故は原子力緊急事態宣言が為された初のケースであるが、本当に過去にそれに相当する事故はなかったのだろうか。ここまでの事故に至らなくても、住民への避難勧告の是非を検討すべき事態はあったと思われるのだが。原発に対する不安は原子力行政に対する不安によるところも大きい訳で、これを契機に隠蔽体質からの脱却を図って欲しい。

もう一点は、今回の事故に関して事後の検証も含め詳細な報告を望みたい。事態収束の目処が立つまでにはまだ時間がかかるだろうが、国民の関心が薄れた隙にいい加減な報告でお終いでは国際社会の批判を浴びること必至だろう。今回の事故は、福島第一原発の各号機で問題が同時発生していることが問題の解決を困難にしている一因であるが、各号機毎に切り分けての報告が必要だと思う。

特に注目しているのは、福島第一原発3号機の挙動である。3号機は所謂プルサーマル炉で、燃料の一部にMOX燃料を用いている。MOX燃料とは、使用済み燃料(プルトニウム濃度は約1%)を再処理してプルトニウム濃度を4-9%に高めたものである。プルトニウム濃度を高めることによる懸念点は色々と指摘されているが、一つ挙げるならばプルトニウム239はウラン235に比べて中性子を生成しやすい(詳細は割愛するが、炉内の反応は中性子をきっかけとしたサイクルである)為、制御棒等による反応の制御が難しくなることがある。とは言え、プルサーマルは現在使われている軽水炉をベースに設計されているので、設計通りであれば事故発生のリスクが格段に高まることはないと思われる。

しかし、今回のように冷却機能が失われてしまった場合は話は別だろう。プルトニウム濃度を高めることで燃料の融点が下がり燃料が溶けやすくなり、熱伝導率が下がることで温度が高くなりやすくなる。プルトニウムは中性子を放出しやすい為、より深刻な中性子線被曝のリスクは高まるし、プルトニウムをはじめとする超ウラン元素が多くなることで被曝線量が多くなることも懸念される。

個人的には、プルサーマル計画は即刻中止すべきだと考えている。と言うのは、もはやプルサーマル計画を推進する大義名分は存在しないと思われるからだ。プルサーマルの当初の目的は今後、世界中の各地に原発が出来ることによりウランの値段が高騰することが予想される為、ウランの再利用によるコストダウンを図ることが目的だったはずだが、実際には原発には慎重な国が多くウラン価格の高騰は見られていない。プルサーマルが採算に乗る為にはウラン価格が現在の40倍になることが前提との試算があるが、今後もここまで高騰することはまずあり得ないだろう。

プルサーマルのもう一つの目的は使用済み燃料問題の解決であるが、これについてもMOX燃料は(軽水炉で利用すると)アメリシウムの生成によって臨界に達しなくなる(高次化)為、最大でも2サイクルしか使えない上に、使用済みMOX燃料も放射性廃棄物とせざるを得ない。

筆者のエネルギー政策に関する考えの詳細は今後にしたいが、原発をいきなり全廃するのは事実上不可能だろう。今回の教訓を活かして、既存の原子力発電所にしかるべき対策を施すのは必須だ。関係者が真摯に対応されることを望みたい。 あとで読む ブックマークに追加する
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2011-04-09 Sat 01:18:12 | trackback(0) | comment(0) | | PageTop▲
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